おまえの林檎

シーツの中は
いつも小雨

返らぬ波が
嘘を歌う

壊れた薔薇より
小声になって
辞書より重たい
思考に揺れる

おまえの体の
林檎を齧り
黙って
吐き捨てたら

泥みたいに
熱い呼吸で

そっと岬に
風が近づく

翼をもたない
誇りにふるえ
人魚になれない
痛みが響く

悪酔いするほど
小舟に揺られ
触れる
覗き窓に

トマトの中身に
つぶれるふたり
ハートの中身に
なれないふたり

なんにも歪んじゃいないぜ
ここで
笑うよ
無邪気にさ

夜を越えて
夜を殖やし
夜に生きて

おそろいの
肋骨に
触れてみる

弱くない?
強くない?
目を開けて

愛してる
馬鹿かもな

雨 上がったな